春の新作、手描き友禅の帯

 今日はホッとする日差しの暖かな日でした。でも、鹿児島からいらして下さったお客様には東京の風はまだまだ冷たいようです。ご遠方から、ありがとうございました(^O^)
 とはいえ、梅の花もほころびはじめて、どことなく春の匂いがする頃でございます。
 皆さまのお住まいのところではいかがでしょうか?

 さて、本日は春の便りが届きました!
 当店ではお馴染みの手描き友禅作家「田邊慶子」先生が来店して下さり、春一番の新作をご紹介下さいました。これです!『源氏香に桜』のはんなりとした素敵な染め帯です。(本日も画像は全て拡大しますのでクリックして下さいね)
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 美しい桜色の帯に源氏香が描かれています。そして源氏香には吉祥文様、桜の花の舞う優雅でやさしくて、それでいて田邊流の元気の出るポップな色彩が艶やかな帯です。

 源氏香はご存知のお香遊びの一つ。5種類の香の匂いの異同じを嗅ぎ分けて5本の縦線に横線を組み合わせた図で示すもので、図は52種類あって、それぞれに源氏物語54帖のうち52の帖の名前がつけられています。

 描かれているのは上から「幻(41帖)」「花散里(11帖)」「若紫(5帖)」「夕霧(39帖)」「朝顔(20帖)」「胡蝶(24帖)」「蛍(25帖)」です。どうしてその帖を選ばれたのかはお聞きできなかったのですが、ちょこっと考えてみました・・・。

 本日は、こっくりとした黒檀色の万筋文様の江戸小紋にコーディネートしました。
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 お太鼓を結ぶと、お太鼓部分にはちょうど、「幻」「花散里」「若紫」結び方によっては「夕霧」が出ます。

 「幻」は源氏52歳。幼少の頃から理想の女性にと育てあげた最愛の人「紫の上」を亡くして大いに悲嘆にくれ、出家の意思を固めて女君との手紙を焼き捨てるという帖。
 「若紫」はその幼少の紫の上のと出会いそして、誘拐いえ(^^;連れ去りの場面です。
 そして「花散里」は・・・源氏の愛した女性の中ではとても地味な人。ご存知ですか?
 でもこの人は源氏が最も心やすらぐ女性として描かれていて、美人ではないけど、とても穏やかで聡明で、源氏が滅多に訪ねないのに恨んだり他の男性に走ったりもせず、しかも源氏の最初の正妻葵の上との子供「夕霧」の母替わりともなり、源氏の晩年まで寄り添う大事な女性になります(・・*)

 で、この帯では、お太鼓部分に絶対にバッチリ登場するのは、この「花散里」なのです。
 
 こんな場面があります。
 源氏が失脚して須磨に退く直前に花散里を訪ねた際(普段はほったからしなのに、そういう時にはちゃんと花散る里を訪ねる源氏・・・)その際に彼女がよんだ句がこちら

 「月影の やどれる袖は せばくとも 止めても見ばや あかぬ光を」
 月の光がさしている、この小さく狭い袖のように、とるにたらない私ですが、できることなら、あなたという光をこの袖に留めていつまでも飽きることなく見つめていたいです。

 それに対して源氏の返歌
 「行き巡り つひにすむべき月影の しばし雲らむ空な眺めそ」
 いつか澄んだ月が現れるように私もきっとあなたの元へ帰って来ます。しばらくの間曇った空は見ないでくださいませんか。

 そもそも源氏の失脚は朧月夜との密会が発覚して政治的にやばくなり須磨に退くことにしたというのに、思いついたようにやってきて調子の良いことをいうなんてけしからん、なんて思うのですが、でも物語では、ちゃんと約束どおり彼女の元に戻り、将来に渡り信頼できる妻として厚遇するのだそうですよ。

 なるほどぉ・・・。源氏物語の中の「花散里」、今まであまり気に留めたことがありませんでしたが、改めて、一途で辛抱強くて、慎ましやかで思いやりが深く、いつでも穏やかで信頼に足る(ちょっと褒めすぎかもしれませんが)そんな女性にはとてもなれそうにもないけれど(^^; でも・・・ちょっぴり憧れます。


 さて、帯のお話に戻りますと(^^;
 この帯地がまた素敵なのです。風合い豊かな麻の葉地紋のしっかりとした生地がとても魅力的です。先生によると、この地紋はとても珍しいの。だって所々光沢があって陰影の深みを感じる生地なの。だから濃い色で染めてしまうのはとっても勿体ないのよ!だから淡い淡いアイシーピンクで染めたかったの!ということで、さすが作家さんです。その素敵な感性とセンスが人気のわけでもあるのです!
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 前帯はこんな感じです。
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 前帯には「若紫」と「夕霧」。源氏にとっては最愛の妻と、そして息子。でも、不安定な源氏の感情や言動を揺るぎない愛で支えていたのはその「花散里」なのかもしれませんね・・・(^^;


 桜の花の舞うデザインですが花びらですので春に限らず、はんなりとお召し頂けます。
 とはいえ、これからの季節には見る目も優しく春らしい情緒を感じさせてくれる帯だと思います。
 寒い寒い毎日ではございますが、そんな物語に思いを馳せて、そろりそろりと春支度をいたしませんか?

 帯はお店で展示販売をいたしております。
 お値段など、どうぞお気軽にお尋ねくださいませ。

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by someichie-tencho | 2015-02-19 20:06 | コーディネート

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