月の兎の。。。ものがたり。

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 『むばたまの夜のみ降れる白雪は 照る月影の積もるなりけり』(後撰集503)

 久しぶりのお月様です。昨夜は満月の次の夜「十六夜」でした。
 このところ・・・くたびれてお月見どころではありませんでしたので、昨夜は久々のご対面でした。
 冬の月灯りはひんやりと冷えた空気を通ってより一層白くまばゆく見えます。
 皆さまのお住まいのところではいかがでしょうか?

 ところで、お月様に兎が住むと言うお話。。。
 実は平安時代にかかれた「今昔物語」にそのわけが書かれています。
 ちょっとあまりに悲しいお話なので、今までご紹介するのを躊躇していたのですが・・・

 後の世に、良寛和尚がこれを読み「衣の袖をすっぽりと濡らすほど涙した」というお話。
 
 さて、そのお話とは・・・・049.gif

 今は昔、天竺というところに、猿と狐と兎の三匹が暮らしていました。
 三匹は大変に立派で、互いを譲り合い思いやりに満ちた暮らしをしていました。

 実は三匹は前世では人間だったのです。
 ところが前世では他人を粗末にし欲深い暮らしをしていたため、動物に生まれ変わってしまったのです。
 深く反省した三人は今度こそ、身を捨てる覚悟で善い行いをしようと一生懸命暮らしていたのです。

 
 そんなある日、三匹の前に弱々しい老人があらわれました。
 「私は食べるものも住むところもないおいぼれ。慈悲深いそなたちにお願いじゃ、私を養ってくれないか?」
 それを聞いた三匹は、ここぞとばかり、「お任せ下さい」と喜んで申し出を受けました。

 猿は木に登りクリやナシなどたくさんの果実をとり里に出ては野菜をとり老人に与えました。
 狐はお墓のお供え餅やご飯、様々な魚を取ってきて食べさせたので、老人はすっかり元気になりました。

 しかし兎だけは・・・
 野山に出れば襲われそうになるし、木のぼりも出来ないし、何も持ち帰ることができません。
 
 猿や狐は兎を慰めたり励ましたりしていましたがそのうちに、無能な兎を嘲笑うようになりました。

 ある日、兎はある決心を胸に、老人の元に行きこう言いました。
 「わたしはこれからおいしい食べ物を探してきます。みなさん焚き木を拾って火を起こし待っていて下さい」
 
 猿と狐が枯れ木を拾い集め火をおこして待っていると、今日も兎が手ぶらで戻ってきました。
 猿と狐はこの様を見てついに憤慨しました。
 「なんてことだ、私たちをだましたのか!」

 しかし、兎は悲しそうな目をして首を振りました。
 「私には食べ物を集めてくる力がないのです。ですから、この後に及んでは私を焼いてお食べ下さい」
そう言うや否や、兎は火の中に飛びこんで焼け死んでしまいました。

 実はこのご老人とは下界に三匹の様子を見に来た帝釈天(たいしゃくてん)様でした。
 老人の姿から凛々しい神の姿に戻った帝釈天様は、後世に生きる全ての生きものたちがこの兎の行動を知るようにと、火に飛び込む姿を月の中に移すことにしました。

 大変悲しい物語ですが、その最後の結びには・・・
 「されば、月の面に雲のようなるものあるは、この兎の火に焼けたる煙なり。また、月の中に兎のあると云ふはこの兎の形なり。万(よろず)の人、月を見む毎にこの兎のこと思ひ出すべし」

 全ての人が他人を尊び、他人を思いやり、互いが助け合う気持ちを持つように
 いつの時代となっても、お月様を眺める度に兎のそんな精神を思い出して、自らを戒め、他人を敬う、やさしい世の中でありますようにと。。。。

 そして、この物語を読んで良寛和尚さまが詠んだ歌・・・

 月の宮にぞ 葬りける
 今の世までも 語り継ぎ
 月の兎と いふことは
 是が由にて ありけると
 聞く吾さへも 白栲(しろたへ)の
 衣の袂(そで)は とほりてぬれぬ

 とてもとても、月の兎を見習う覚悟などはありはしませんが、
 ただ少なくとも、今日の自分はどうであったか?
 自分には何も出来ない?そんなことはない、こんな私にも出来ることはあるのです。
 火に飛び込む勇気はなくとも、周りを敬い、他人を気遣える、そんな自分であることができたか?
 戒めと反省を込めてお月様を眺めてみることはできそうですね^^

 
 b0172203_19325993.jpgお~っと!!
 またしても前置きが大変に長くなってしまいましたが・・・・
 右の写真は、お店のお引越し祝いに、いつも仲良しのATENARIさんに頂いた、月兎^^
 大変に凛々しく可愛い兎です。
 毎日お店で大事に磨いています。(非売品!!)

 実はこの子は「黒柿」という貴重な木でつくられています。柿の木が数百年の樹齢を重ねると、稀にに心材に墨で書いた様に黒い紋様が入るものがあります。この様になった柿の木のことを黒柿と言うそうです。

 
 そしてこちらは、その黒柿でつくられた「髪留め」です。
 もちろんATENARI製 ^^ 
 黒柿にとても良く映えるえんじ色の蒔絵がステキではありませんか^^?
 髪を一つにまとめて留めるバレッタです。
 少々髪の多い店長も一つにまとめてパチンと留められます。
 短い髪の方でしたら、これで留めるだけで和装ヘアが仕上がります^^v
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 ※売り切れとなりました。

 さて、今宵のお月様。。。。
 寒空に輝く月に兎の姿が見えたなら、今日という日を振り返り、明日という日のために、ちょっぴり自分を見つめてみる、そんな時間を持てると良いですね^^

 どちら様も、どうかお風邪めされませぬよう
 暖かくしてお過ごしくださいますよう・・・。
 
 
by someichie-tencho | 2013-01-29 19:44 | うさぎと月